はじめに(バンニングマスターの紹介)

 バンニングマスター(自動積付計算システム)は、サイズ情報(縦・横・高さ)をもとに、トラック及び海上コンテナ等への貨物の積み込み(積付け)を最適化するシステムである。輸送に必要な高積載のトラック、コンテナ台数等を計算し、かつ、3D画像(積載結果)を見ながら修正することができる。第1図はバンニングマスターの特長をまとめたものだ。バンニングマスターは直方体の空間に対して最適な積付けを計算する為、トラックや海上コンテナに限らずパレット・ダンボール・カゴ車等、様々な輸送手段の積載率向上を可能にする。サイズ情報を整備しているメーカー(自動車・電子・部品・食品・建材業界)を中心に、官公庁や卸・通販企業等、500ライセンス以上の導入実績を持つ。

第1図 バンニングマスター(自動積付計算システムの特長)

 最後の項で紹介するが、バンニングマスター最新の開発では、ロボットハンドとの連携実験を進めている。物流現場における大きな課題である人手不足改善に向けた取り組みだ。バンニングマスターは積み込む貨物(ダンボール等)の外寸サイズ(縦・横・高さ)、及び、積み込まれる輸送機器(トラック・海上コンテナ・パレット等)の内寸サイズ(縦・横・高さ)をもとに空間の分割・統合を繰り返しながら全貨物の配置座標を計算する。従い、その配置座標をロボットハンドと連携することで、輸送機器への複雑な積付けを自動化することができる。また、積付け計算は、単に空間への詰込み効率を考えるだけでなく、物流作業者が実際に積み込み作業が出来るように計算する必要がある為、アルゴリズムによる3次元計算を採用している。では、ここでアルゴリズムの基本的な考え方を紹介する。

第2図 アルゴズムによる計算概要(貨物配置時の空間分割)

 第2図にあるように、アルゴリズムは貨物外寸サイズをもとに18種類の空間に分割することから計算を始める。分割結果に対して現実に即した積載となるよう評価をし、評価の高い配置方法を選択する。そして、次の貨物を積載する為に、空間の統合・分割を繰り返すと共に、評価をしながら貨物を追加積載していく。これを輸送機器の積載率の最大化を目的に繰り返す。評価では、荷崩れ防止や納品先での取り出しやすさなど、物流作業者が作業可能な積載方法や、貨物の重量制約・耐荷重・回転制約等を考慮している。数理計画法に基づくが、無限に増える答えの中から現実的な解を瞬時に見つけ出す必要があり、難易度の高い開発と言える。

輸出入案件における活用事例(バーコードリーダーとの連携)

 バンニングマスターにおける導入案件には海上コンテナへの積載がある。海外への長距離輸送において、空き空間を減らして少しでも多くの貨物を輸送する取組だ。バンニンングマスターには、アルゴリズムで積付けを自動計算するだけでなく、更なる積載率向上を図ることや、一部の貨物に対する追加・キャンセルに柔軟に対応する為の3D修正機能が用意されている。アルゴリズムが計算した結果に対して3D画像を見ながら積載の内容を修正するものだが、修正時においても重量・耐荷重・回転等の制約が守られているかをチェックしている。積付自動計算システムには、アルゴリズムによる計算だけでなく、積載方法や追加・キャンセルなど物流全体の運用を考慮したシステム設計が求められる。当社(ネットロック株式会社)は、サードパーティロジスティクス(3PL)として物流コンサルティングを手掛けており、物流作業者の考え方(アルゴリズム)や物流業務全体の設計(周辺機能)を、3PLで培った経験から現実に即したシステム開発に反映できることをお伝えしたい。もちろん、物流現場(現実)に合わせたカスタマイズが可能であり、導入先企業の物流全体を深く理解し、大量なテストデータをもとに提案をしている。
海上コンテナ積付け案件のカスタマイズ例としてバーコードリーダーとの連携がある。バンニングマスターは輸送貨物の積載位置において座標を含めて計算している。従い、コンテナのどの位置に何を積載するべきかを明確に指示することができる。従い、バーコードリーダーと連携することで、作業者の誤ピッキングを防ぎながら、配置位置を指示することができる。輸出入業務においては、輸出入INVOICEと合致しない誤ピッキングが許されないことや、通関時の検査、そして納品先での積み下ろし作業を考慮する必要がある。従い、コンテナの中で何がどこに保管されているか明示するケースがある。ここで、バーコードリーダーを活用した具体的な運用を説明する。トータルピッキング表と積み込む貨物に、それぞれ突き合せできるバーコードを印字し、更にトータルピッキング表に積付結果(3D)を表示する。作業員が積載する際に、バーコードリーダーでトータルピッキング表と貨物のバーコードを突き合せし、3Dを確認しながら積み付け作業をすることで、誤ピッキングの防止や、コンテナ内の配置位置を明確にすることができる。特に部品の輸出入では効果的な取組となっている。数アイテムでのコンテナへの積付けではバーコードリーダーとの連携までは必要ないが、積載率を最大化する為にバンニングマスターによるシミュレーションを活用いただいている。

ハンドリングロボットとの連携(バンニングマスターの可能性)

 バンニングマスターは輸送機器(コンテナ等)の空間最適化だけでなく、コンテナ積み込み前の動線・作業工数、そして輸送スケジュールを含めて運用全体の最適化計算が可能だ。計算範囲が広いほど安定的な高積載率・作業効率を同時に実現することができる。
ハンドリングロボットは、同一サイズの貨物をパレットへ積載することが一般的である。最近では3Dスキャンにて積載する貨物を認識した情報をハンドリングロボットと連携することでサイズの違う貨物の自動積載を可能にしているケースがある。しかし、人と比べて応用範囲の狭いハンドリングロボットと連携した場合、荷崩れを防ぐ為の積付け、例えば、大きな貨物を下にした積付けなどの柔軟な対応が難しい。また、ハンドリングロボットの中には左端から積み付けるなどのロボット独自の配置ルールが存在する。バンニングマスターでは、物流作業者のノウハウやロボット特有の配置ルールを評価値に組み入れ、広い範囲での計算により現実に即してハンドリングロボットの活用ができる。
ハンドリングロボットとバンニングマスターの連携はロボットメーカーとの実験を進めている段階ではあるが、将来的には、パレットへ積載される前の作業工数・動線、そして輸送スケジュールまでを考慮した最適化を可能にする予定だ。3PLを通して物流コンサルティングを展開している当社だから、様々な物流現場に合う最適化が可能と考えている。

第3図 バンニングマスターとロボットハンドとの連携

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