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月刊自動認識2020年3月本文

● はじめに

本格的な人口減少社会に突入した日本、その影響は物流現場でも深刻化している。
運送業では長時間労働・低賃金と、労働環境の改善なく人手不足の解消は難しい状況である。
乗務員の年間所得は、大型トラック乗務員で全産業平均の0.92倍、中小型トラック乗務員で0.84倍。
一方、年間労働時間は全産業平均の1.22倍(大型)1.21倍(中小型)となり、入職率の低下の理由となる。

※ 国土交通省 物流政策課 2018年10月11日 「物流を取り巻く現状について」より


乗務員の長時間労働は、荷待ち時間・荷役時間の短縮が課題となり、運送事業者だけではなく、倉庫側・荷主企業も協力し改善に取り組まなければ、商品の配送にこれまで以上の制限がつく可能性が高い。バラ積みからパレットでの荷積み・荷下ろしへの改善など、乗務員への作業負担を減らす取り組みが必要である。

倉庫側では、多品種小ロット化により荷役業務が複雑化、職人的業務と言っても大げさではなく、作業員を確保しても生産性が上がらず苦労している管理者も少なくない。多品種商品の梱包・複数サイズ商品のパレタイズ等、多くの知識と経験が必要な荷役作業が増えている。

当社開発のバンニングマスター(自動積付計算システム)は、各お客様の物流条件に合わせた空間の利用をシミュレーションするシステムであり、出荷指示へ連動することで荷役業務の平準化・省人化が期待できる。

● 最下流の業務を見据えた作業動線の改善、作業効率化で人手不足を解消

2018年時において16,5兆円規模と、ECサイトの売上規模が拡大している。
B to C向けの細かい出荷作業が増加した出荷倉庫は多いだろう。取扱いSKU増加、日々変わる出荷先は、作業者の判断回数を増やし作業効率は悪化、作業ミスは増加の傾向がみられる。

当社開発のバンニングマスターPLUS(BOX版アルゴリズム)は、受注内容から自動計算を行い適切な梱包用段ボールをシミュレーションすることにより、梱包段ボールの選択という経験値が問われる判断作業を軽減させ作業効率の改善ができる。


その他、BOX版アルゴリズムを活用することで生まれるメリットを列挙する。

  1. 出荷に最適なサイズの段ボールを、複数種類の梱包用段ボールから自動的に選択
    > 熟練者と新人の箱選択精度を均等にすることができる。
    > 最小の段ボールを選択することで、宅配運賃の削減にもつながる。
  2. 受注段階で梱包明細・荷札・伝票発行が可能
    > 事務・梱包作業の動線改善
    > 梱包後の個口数変更等、戻り作業の発生を予防できる
  3. 必要な段ボール数、種類の把握が可能
    > 計画段階で梱包数が分かり、出荷準備・トラック手配など下流工程の事前準備が可能
    > 梱包用段ボールの種類削減・新サイズの検討が可能


BOX版の相談を受ける中で一番多く認識されている課題は、梱包用段ボールのサイズ選択である。
システムの導入で、選択に悩む時間・サイズのバラツキ問題も解消される。最小サイズでの出荷による宅配運賃の削減も大きく、1日の出荷量が多ければ多いほどメリットが大きいシステムである

● パレットへの積付作業・サイズ自動計測システム

バンニングマスターの積付計算には、商品ごとに3サイズ(縦×横×高さ)と重量が必要である。
しかし、梱包により変化するサイズ情報、商品変更によるマスタ未更新等、サイズ情報をマスタ化できない場面が考えられる。 そこで、自動計測機やタブレット端末によるサイズ計測を行うことで、バンニングマスターと連動し、サイズ情報を持たない製品であっても最適な積付を計算することが可能となる。

荷姿サイズ計測ユニット


バンニングマスターと連動することで、入庫時に測定器やタブレットにて計測した結果が、サーバーの商品マスタへ自動的に取り込まれる。
計測された情報を基に、保管空間の無駄を減らし作業効率の向上につながる。また、測定情報により受注時点で積付け内容が把握できており、パレット枚数・トラック台数など配送準備まで考慮した運用に改善できる。

バンニングマスターは、既存の倉庫管理システム(WMS)との連携、アルゴリズム(計算モジュール)のみでWMS・受発注システムへ提供することも可能である。

計算された積付け方法を、倉庫管理システムと連動させることによりパレタイズ順の表示や、それによるピッキング順・保管ロケーションの見直しへも可能。ピッキングリストへ順番を表示することにより、作業性が向上し荷役時間が改善される。

● おわりに

 当社開発のバンニングマスターは、コンテナの積載効率を最大限まで高める取り組みから開発が始まった。共同配送を代表するように多品種小ロット配送が進む中で、BOX版アルゴリズム・自動計測機との連動等、開発が進み活躍の場が広がっている。
積載率の向上による配送コスト削減はもちろんだが、受注段階で下流工程を見据え運用することにより、受注~配送まで物流業務全体の隠れたコストを削減できる可能性が広がるシステムである。
以上
■ 内容に関する問い合わせ先
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物流IT事業部
高橋 伸弥
Tel:03-6825-7401(代)
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